さくらサイエンスプランHOME > 活動報告 > 公募計画コース > 第83号

[本文]

活動報告(公募計画コース) 第83号

開発途上国への援助で成果をあげた交流プログラム
金沢工業大学からの報告

金沢工業大学

 金沢工業大学では、さくらサイエンスプランの支援を受けて、9月7日~9月16日の10日間にわたり、シンガポール理工学院から5人の学生と1人の引率教員、インドネシアのムハマディア大学マラン校より5人の学生、計11人の学生・引率教員を招聘しました。

 そして招聘留学生と共に、金沢工業大学(KIT)の学生12人、また、学園施設を共有する金沢工業高等専門学校(KTC)の学生6人がサポーター学生として参加し、「KIT/KTCラーニングエクスプレス(9月受入)」(以下、本プログラム)を実施しました。

 本学では、金沢工業大学と金沢工業高等専門学校の学生達がアジアの開発途上国を訪問し、他国の学生達と多国籍チームを組み、現地でイノベーション創出に取り組むグローバル人材育成プログラム「KIT/KTCラーニングエクスプレス」を実施しています。学生達は、地元産業の活性化や環境問題など、滞在先の地域住民の方々と生活を共にしながら異文化に触れ、問題を発見し、解決策を創出、具体化して住民の方々へ提案する活動を行います。

 今回のプログラムは2015年3月にインドネシアのマランで実施したラーニングエクスプレスで協働したシンガポールとインドシアの留学生を招聘し、現地で創出された課題解決案を共同で具体化することを目的としています。

 そして本プログラムでは2つのテーマで共同活動を実施しました。1つ目は滞在した村の家内産業であるミルクキャンディーの製造の効率化を図ることを目的に「ミルクキャンディーを切り分ける工程」部分に着目し、ミルクキャンディーカッターのプロトタイプ製作を行いました。

 2つ目は、家畜飼料となる昆虫養殖の現場で、より効率的に幼虫と蛹(さなぎ)の選別を行うことができるプロダクトのプロトタイプ製作を行いました。これらのプロトタイプは本プログラム終了時にインドネシアから招聘された大学生が現地へ持ち帰りました。そして再度、現地でユーザビリティテストを行ってもらい、そのフィードバックを踏まえて今後の改良、現地導入を図ります。また本プログラムでは、このような技術的な交流と同時に、日本の最先端の科学技術に触れる科学館見学、日本への理解、興味を深めてもらうために金沢の伝統文化に触れ、伝統工芸ものづくりを体験する活動も行われました。

 初日となる9月7日に本学に到着した一行は、歓迎レセプションで本学サポーター学生と顔合わせを行いました。また食事の後には、セグウェイを用いたアイスブレイク・コミュニケーション活動を行いました。ここで学生達はお互いをサポートするために積極的に英語で会話を試み、声を掛け合いながらセグウェイの操作を通して楽しみながら打ち解けることができたようです。


到着時の歓迎

セグウェイでアイスブレイクの時間をもつ

 9月8日は本学のキャンパス見学や研究施設を訪問し「感動デザイン工学」「地域防災環境科学研究所」など本学で取り組まれている研究内容や最先端の研究設備に触れました。キャンパス見学では本学サポーター学生が説明役として帯同し、また訪れた研究所では研究に取り組んでいる本学学生が英語で研究内容や設備の説明を行うなど、留学生にとっては研究に関する学びの場、本学学生にとっては実践的な英語活用の場となりました。


感動デザイン工学施設にて体験

 9月9日午前中は、本学日本語講師による日本語講座を受講し、日常会話や日本文化について学びました。午後からは、本プログラムの活動の拠点となるモノづくり施設の『夢考房』にて、本学における学生主体のモノづくり活動の内容や施設利用時の安全に関する説明を受けました。その後、本学学生と共にインドネシア現地での導入を目指すプロトタイプ製作のブリーフィングを行いました。本プログラム開始時には、すでに事後学習の一環として本学学生によるプロトタイプ製作活動は開始されていました。ここでは本学学生たちの進捗状況の報告を元に、ミルクキャンディー班と昆虫養殖班に分かれて、再度、作業者の画像などを確認しながら問題点の確認や解決策の具体化の話し合いをすすめました。招聘された留学生たちにとっては、自分達が実際に携わったプロジェクトのアイデアの具体化、製品化を図る機会であり、活動に対するモチベーションは非常に高く、スケッチやダンボールなどを用いた簡易的なモックアップですぐに製作しアイデアを確認するなど、ディスカッションは非常に白熱したものとなりました。


夢考房にて、技師と技術に関する意見交換

プロトタイプについてディスカッション

 9月10日(木)~12日は、本学のデザイン&イノベーションスタジオでのディスカッションで、アイデアの洗練化と夢考房でのプロトタイプ製作活動を行いました。安全の都合上、留学生たちは夢考房の工作機械を使用することはできませんでしたが、アイデアを元に本学学生が加工を行い、また夢考房技師の協力のもと、本学学生が通訳となりアイデアを技師に伝え、意見交換を行いながら作業が進められました。本学学生にとってはさらに英語を駆使する場面となり、より専門的な英語運用能力の重要性を実感する機会となりました。また、言葉だけではなくスケッチやジェスチャー、伝えたいことを即座に簡易モックアップにして表現するなど、他者へ自分の意図を効果的に伝えること、どのようにしたら理解し合うことができるのかを考え実践する、コミュニケーション能力に磨きをかける機会となりました。


加工作業をする学生たち

 9月13日は、本学学生と共に金沢市内の兼六園、近江町市場などを視察し、石川県の伝統工芸である蒔絵体験の活動を行いました。金沢の歴史や建築物、地元の生活、食事などを実際に見聞し、また伝統工芸のモノづくりの実体験を通して、あらためて日本文化への関心が深まったようです。


蒔絵体験をするアジアの学生たち

 9月14日は、金沢での最後の滞在の日となり、留学生と本学サポーター学生による最終成果発表会を開催しました。本学学園関係者やものづくりや国際交流活動に興味がある学生達が集まる中、留学生と本学学生が日本、シンガポール、インドネシアの文化の違いや学び、製作したプロトタイプについて英語と日本語の逐次通訳をいれて発表しました。発表後には留学生に修了証が授与され、留学生達は達成感あふれる笑顔で発表会を終了しました。発表会後は、フェアウェルレセプションが開かれ、本学学生達と歓談しプレゼント交換を行うなど、名残惜しく金沢でのプログラムを終了しました。


アジアの学生と金沢工大生による最終成果発表会

 9月15日は、東京に移動し国立科学博物館を見学しました。科学館では科学技術の発展や人類の進化について言葉だけではなく、実物やモデルを通して関心を深めました。翌日は浅草界隈や渋谷界隈を視察しました。日本のファッションやアニメなどのサブカルチャーやトレンド、仏教信仰や寺社建造物などについての知見を広めることができました。


国立科学博物館の見学

 本プログラム開始当初から、留学生たちは積極的に本学学生との会話や製作活動に取り組むことができ、充実した滞在を送ることができたというコメントをいただきました。また共同で製作したプロトタイプをインドネシアに持っていくという目的も果たし、短期間ではありましたが大きな達成感を得られたようです。技術交流・文化交流を通して本プログラムが留学生にとって新たな学びの機会となり、有意義なものとなってくれたことを願います。

活動報告