さくらサイエンスプランHOME > 活動報告 > 公募計画コース > 第49号

[本文]

活動報告(公募計画コース) 第49号

環境保全分野での日本の経験や取り組みを学ぶ
中国湖南省株洲市の行政官・大学院生が科学技術交流

公益財団法人国際環境技術移転センター(ICETT)

 7月7日から7月14日の日程で、公益財団法人国際環境技術移転センター(ICETT)では、さくらサイエンスプランにより中国湖南省株洲市より行政官11名と大学院生2名を受け入れ、研修を実施しました。


開講式後の記念撮影

 近年、中国の環境汚染問題は国内のみならず国外からも高い関心を集めています。工業都市である株洲市では全公共バスの電動化を率先的に実施するなど、環境汚染対策に取り組んでいますが、急速な発展を続ける工業に適切な汚染未然防止技術、解決技術の導入については依然として需要の高い状況が続いています。

 研修は「日本の環境管理技術及び環境技術移転に関する研究」をテーマとして、株洲市への先進的な科学技術移転を担う株洲市技術移転促進センター有限責任公司、市内の重点工業に連結する学科を有する湖南工業大学より招へいを行い、環境保全分野での日本の経験や取り組みを学ぶことにより環境保全技術や技術移転への理解を深めました。

 研修カリキュラムはICETTの所在する三重県四日市市を拠点として、日本で発生した四大公害の経験を例に、講義や企業、資料館などの見学を通じて、科学技術発展や法規制の変遷について学ぶことができる構成としました。

 研修の目的が明確なものとなるよう、研修の一日目には参加者各人より自身の業務、研究内容や株洲市で抱える課題、研修への抱負等について発表を行いました。


各社からの業務・研究内容の発表

阪神淡路大震災と同じ震度を体感

 名古屋大学では、日本の行政・大学・企業による産学官連携や研究中の環境保全対策技術についてご紹介いただき意見交換を行ったほか、参加者からは湖南工業大学で研究中の生物分解性包装材料、廃棄物の有用化処理について紹介しました。ノーベル賞受賞者を多数輩出している同大学で、日本の大学生の生活を垣間見ながら、日中の大学の相違について参加者間で意見を交わしていました。


名古屋大学での研究内容発表

 大和ハウス工業総合技術研究所では省エネルギー、安全に特化した建築材料による建物づくりについて学びました。建設ラッシュのピークは過ぎたと言われる中国ですが、内陸に位置する株洲市では現在も多数の建築物が建設中です。スマートな建物づくりには参加者も大いに興味がある様子でした。

 中部電力株式会社碧南火力発電所、JSR株式会社四日市工場では環境負担の少ない生産活動や、近隣地域への配慮、企業の社会貢献に関する理念などを学びました。

 中部電力株式会社では中国の火力発電所同様に石炭を用いた発電を行っていますが、所内の管理状況は全く異なるようです。石炭ヤードから外部に汚れが飛散しない仕組みや、巨大な発電所を少人数でオペレーションしている様子を見学し、移動の時間中など研修期間中には見学した施設が常に話題にのぼっていました。


中部電力㈱碧南火力発電所のボイラ棟屋上より周辺地域の様子を見学

 さらにJSR株式会社では周囲を居住地区に囲まれている工場として、周辺地域との協定や配慮について学ぶことができました。中国では汚染物質を排出する工場は郊外への移転が進んでいますが、地理的条件により移転が難しい日本での工業と住民生活との共存のための努力に高い関心が示されました。


JSR㈱にて排水処理施設を見学

 ICETTの館内や外出先に設置された分別用ごみ箱が、研修員の目にとても新鮮な物に映ったようです。ICETT担当職員に分別の方法や、収集後の処理の方法等を尋ねながら日本の分別システムを体験しました。


昼食後にごみの分別を体験

 研修の最終日には各人が研修で学んだこと、新たに認識した課題や研修成果を今後の業務にどう活かすかについて発表を行いました。今後、対象分野を絞り、自らの業務の中で更に詳しく日本で導入されている科学技術について学ぶ機会を設けて、中国での環境保全対策に取り入れたいとの声が多く聞かれました。

活動報告