さくらサイエンスプランHOME > 活動報告 > 公募計画コース > 第14号

[本文]

活動報告(公募計画コース) 第14号

ラマダンの夏と「電子状態計算」

北陸先端科学技術大学院大学

7月5日〜7月23日の日程で、「スパコンを用いた電子状態シミュレーション」を題材に、タイ、インドネシア、マレーシア、インドから計8名の学部学生を受け入れて実習形態の研修を企画・実施しました。

プログラム前半では、参加者が自作PCをパーツから組み上げ、並列計算機を構成し、電子状態シミュレーションの高速化を体感するという課題に取り組みました。国籍や性別の違う2名ずつで一組になり、協力してLinux計算機システムを構築するという内容から、参加者間交流、および、TAとして参加した日本人学生との交流が自然と進む構成となりました。


クラスタ構築
自作PCを組み上げてクラスタ並列計算機を構成する参加者。

チューターとディスカッション
チューターの指導を受けながらLinuxの設定を進める参加者

前半部では、受入れ側の大学院生がJSTサイエンスキャンプなどでの実施経験を活かして講義を主体的に進めてくれたため、参加者にとっても、質問や不明な点を率直に相談しやすく、真に双方向コミュニケーションが確保されたスタートアップとなりました。
 日程的に、参加者の大半を占めるイスラム教徒にとってのラマダン(断食月)期間が開催期間と重なりましたが、これが逆に功を奏し、日中のプログラムが終わると、参加者は研究室に集まって、日本人や非イスラム教徒も含めて、日没後の会食を一緒に楽しむことになりました。

その後、参加者達は各自の端末から、大学所有のスパコンにログインし、一連のシミュレーション実習を経験しました。参加者らは皆、電子状態計算の研究室出身でしたので、スパコンの圧倒的な速さに驚嘆していました。

一週目中盤には、本学基礎教育院の川西教授による3時間に亘る「日本文化に関する講義」を受講しました。日本社会独特の行動様式や社会慣習が、どのように形成されてきたのかを歴史的流れという視点から眺めると、あるパターンが見えてくるという内容を通じ、参加者各々が今後、自国の将来にどう向き合い貢献するかを深く考える機会となりました。


日本文化講演/本学基礎教育院・川西教授による日本文化の講演を受講

一週目終盤には、一連の全体チュートリアルを終え、8名の参加者は「物質表面の吸着に関する電子状態計算」、「フォノン物性に関する電子状態計算」の二手にわかれ、各自の端末とスパコン資源を用いた本格的な研究プロジェクトに参画を開始しました。教員や大学院生の指導のもと、互いに分担を決め、母語と異なる言語でコミュニケーションを取りながらの「国際協働」を体験することとなりました。


グループワーク
滞在後半には数グループに分かれて計算科学のプロジェクトに 取り組みました。

真剣にプロジェクトに取り組む学生。滞在後半には数グループに分かれて計算科学のプロジェクトに取り組みました。

一週目の週末と二週目ラマダン明けの火曜日には、地元・加賀地区の九谷焼陶芸館や、金沢市の史跡を見学しました。特に、金沢市史跡見学には、金沢の認定ガイドでもある川西教授が随行し、先立って行われた日本文化講義の内容とも連携した、内容の濃い史跡ツアーを企画する事が出来ました。


金沢城にて
公認ガイドでもある川西教授の説明を受けながら金沢市内の史跡観光を行いました。

週末には地元の九谷焼資料館に見学に出かけました。


兼六園にて。
公認ガイドでもある川西教授の説明を受けながら金沢市内の史跡観光を行いました。

最終日には、各プロジェクトのまとめとして議論や質問のセッションが設けられました。参加者はいずれも、出身各国の最高学府で学ぶ、数物系大学院進学を目指す学部学生達であり、今回のプロジェクト研究を、国際共著論文参画のきっかけとすべく、今後の活動方針について活発な質問がなされました。


最終日には各グループごとにプロジェクトの概要と進捗について プレゼンテーションを行いました。


最終日に修了書を手に。最終日には修了証が一人ひとりに授与されました。

期間中、本学への進学希望を具現化して、進学のための手続きを調査する学生が数名いました。今後、より一層の本学の国際協働体制の充実が求められていることを実感しました。JSTには、貴重な機会を提供頂いた事を、改めて感謝申し上げます。

活動報告