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活動報告(修了者・教員らからの声) 第7号

放射線物理化学の国際研究交流で多くの成果
林 銘章

林 銘章(Lin Mingzhang)
School of Nuclear Science and Technology ,
University of Science and Technology of China (USTC)

【さくらサイエンスプラン実施内容について】

研修した大学 東京大学
招へいされた人 中国科学技術大学、中国科学院の学生9人と引率教員1人
実施した期間 2014年9月1日から9月10日

1.多くの研究現場で多彩な研修を実施

 科学技術振興機構(JST)・中国総合研究交流センター(CRCC)は、日中間の交流活動を通して、両国の良好な関係を保っています。CRCCは2014年、「さくらサイエンスプラン(SSP)」を実施、日本とアジアとの青少年の科学技術交流が行われました。

 アジア諸国の青少年が日本の大学、官公庁や研究機関、企業などを訪問し、日本の青少年や最先端の研究に従事する科学者や研究者との科学技術交流を行いました。本事業は、人材交流により日本と中国をはじめとするアジアの青少年との相互理解を深めるとともに、創造力のある人材の育成を目的としています。

 東京大学 国際交流学専攻の楊傑教授や李媛先生をはじめ、同大学 工学系研究科 国際工学教育推進機構の協力のもと、中国の大学および科学院から選出された10名が、2014年9月1日から10日までの10日間にわたり、さくらプランに参加しました。

 東京大学工学部の勝村庸介教授と研究室の皆さんの協力により、研究施設や工場を見学し、20カ国以上150名近くの研究者が参加する第5回アジア太平洋地域放射化学国際会議に参加することができました。

 9月1日から、私たち10名は勝村研究室の皆さんの案内で研究室を見学しました。東京大学農学部と工学部を見学し、勝村研究室で技術交流を行い、自身の研究内容と成果を発表しました。勝村先生も討論に参加され、貴重なご意見やアドバイスを頂戴することができました。


勝村研究室の皆さんと撮影(前列中央が勝村教授)

2.「原子力村」を訪問

 9月3日早朝、私たちは茨城県東海村の「原子力村」を訪問しました。核分裂、核融合、核燃料リサイクルなどの研究を行う日本原子力研究開発機関(JAEA)など、原子力に関する研究に従事する機関が集まっています。

 私たちは、工藤久明助教授を訪れ、東京大学 原子力専攻の概要を説明していただいたあと、午後には勝村教授の案内でJAEAを見学しました。JAEAでは研究用原子炉(JRR-1~3)、放射線を防護する設備や世界初の大強度陽子加速器施設(J-PARC)を見学するなど、貴重な体験をすることができました。

JAEAにてJRR-1を見学

JAEAにてJ-PARCを見学


 また日立製作所の工場や研究所を見学する機会もありました。第4世代原子炉のナトリウム冷却高速炉の研究開発の様子を見学し、研究員の方々より日立製作所の歴史、経営理念、原発部品の生産やABWR(改良型沸騰水型軽水炉)、EBWR(実験沸謄水型原子炉)の研究開発について紹介していただきました。

 その後、研究員の方々の案内で燃料棒、制御棒、制御棒駆動装置など関連設備の実験室を見学。実験室には、超音波探傷装置や水中ロボットなど、研究員による最新の研究成果が展示されていました。研究員の方々は私たちの質問に丁寧に応じてくださり、その生産品質や生産設備に深く感銘を受けました。

 さらに東京大学 原子力専攻(専門職大学院)を訪問し、イオン加速器、ピコ秒パルスラジオリシス装置や関連する研究成果を紹介していただきました。午後には東海第二原子力発電所を訪れ、発電所の原理や突発的災害への対処法、燃料備蓄施設について説明を受けました。

 その後、原子炉、蒸気発生器、空冷・水冷設備、放射性廃棄物・使用済み核燃料の再処理施設等を見学しました。原子力発電所の周囲には津波などの突発的災害に対処するための設備が備えられており、この見学を通じて、原子力発電所の運用は複雑かつ厳密に行われていると感じました。


勝村研究室の山下真一助教によるピコ秒パルスラジオリシス装置の説明

3.「アジア太平洋地域放射化学国際会議」に参加

 9月8日~9日、東京大学が主催するアジア太平洋地域放射化学国際会議(APSRC2014)に参加しました。会議には20以上ものアジア太平洋地域の国々から専門家など150名ほどが参加していました。

 バイオ分子、物理、プロセス工学、ナノ粒子とエマルジョン、有機材料の放射線分解、パルスラジオリシスの研究、無機材料等、多様な分野に及ぶ学術報告やポスターセッションが行われ、学術的な雰囲気の中、様々な質疑応答が交わされていました。プレゼンテーションや質疑応答の様子からも多くを学ぶことができ、忘れられない体験となりました。

 9月9日午後、弥生講堂で勝村先生から「修了証書」をいただきました。勝村先生は、今後も努力して未来に向かって挑戦するよう、激励してくださいました。


弥生講堂(APSRC2014会場)にて「修了証書」を手に

4.日本の研究現場を知る機会となる

 さくらサイエンスプランにより、中国の科学技術系の学生である私たちは日本の研究者と接し、日本の科学技術の成果を知る機会を得ることができました。日本の研究者たちとの交流により、文献からでは学ぶことのできない貴重な体験をすることができました。

 この10日間を通じて、日本の原子力の先進技術を体験するだけでなく、日本の研究者たちの真摯に研究に取り組む姿勢と誠実で友好的な態度に感激しました。勝村教授はAPSRC2014を控えた多忙な時期にも関わらず、終始私たちに付き添ってくださいました。本当に感謝しています。短期間ではありましたが、この経験は私たちを成長させ、また、一生の思い出となると思います。

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