2014年度 活動レポート 第10号:大連理工大学 李雪花

修了者・教員らからの声 第10号

内分泌かく乱物質試験法などを学ぶ
李雪花(Li Xuehua)

李雪花(Li Xuehua) Dr.
大連理工大学副教授

さくらサイエンスプログラム実施内容について

研修した大学 北九州市立大学国際環境工学部
招へいされた人 大連理工大学環境学部の学生10名と教員2名
実施した期間 2015年1月19日~2月1日
 

1.北九州市立大学で研究して帰国

私は2007年、北九州市立大学に留学して帰国後、2009年に大連理工大学で博士号を取得した。現在、大連理工大学副教授を務めている。生態化学汚染及び毒理学予測の研究をしており、2つの国家自然科学基金プロジェクト、863の国家プロジェクトに関わっている。これまでに学術論文約30本を発表している。

2.微量な環境汚染物質の前処理法などを学ぶ

大連理工大学の陳景文教授と日本の門上教授が共同で企画、申請を行った交流計画は、2014年8月にさくらサイエンスプログラムの交流事業として採択され、大連理工大学の10名の学生が2週間参加した。

門上教授の研究室にて、学生たちはLC-TOF/MS(高速液体クロマトグラフィー-飛行時間型 質量分析器)やガスクロマトグラフィー(GCMS)等、薬品や化粧品などに含まれる微量な環境汚染物質の前処理及び定量分析の方法を学んだ。
研究室での学習後、学生たちは2組に分かれ、数日間をかけ前処理及びデジタル分析の実習を行った。

北九州市立大学で環境汚染物質の前処理と定量分析の方法を学ぶ

3.研究成果を発表

大連理工大学、北九州市立大学両校の学生たちによる、研究発表会も行われた。
大連理工大学の学生は各々、毒理学や抗生物質の定量分析、大連の地下水汚染などの研究成果を発表し、北九州市立大学国際環境工学部の学生は全自動同定・定量データベースシステム(AIQS-DB)を応用した1300種の微量環境汚染物質の定量分析法に関連した発表を行った。

発表後には両校の学生の間で議論が交わされた。その後、北九州市立大学国際環境工学部長龍有二教授による講演があり、学生にさくらサイエンスプログラムの修了証書が授与された。

北九州市立大学で行われた両校の学生による研究発表会

4.水生生物の毒性試験なども学ぶ

1月25日には、国立環境研究所環境リスクセンターを訪れた。陳教授は国立環境研究所の歓迎に感謝の意を表し、今回の学術交流により日中の友好を深め、環境対策を推進させたいと述べた。
その後、学生たちは環境リスク研究センターで水生生物の毒性試験と内分泌かく乱物質試験法を学んだ。

国立環境研究所環境リスクセンターの研究員による実験操作の実演

北九州エコタウンPCB廃棄物処理施設、北九州市立自然史・歴史博物館を訪れた。北九州市では家庭ごみを11種類に分別していることや自動販売機の分解・部品回収プロセス、液晶パネルのリサイクル過程などを学んだ。
北九州市が過去に重化学工業の発展による重大な環境汚染を経験し、産学官の連携により環境整備を実施してきた経緯についても理解を深めることができた。

エコタウンに行きごみのリサイクル過程を学ぶ

5.目的を達成したさくらサイエンスプログラム

さくらサイエンスプログラムは、中国人学生に日本の先端技術と文化を習得する機会を提供してくれた。この国際的な学術交流を通じて、最先端の環境保全技術を学ぶとともに、北九州市の環境保全の理念に感銘を受けた。

2週間の研究活動と学術交流で、大連理工大学の学生は北九州市立大学と国立環境研究所の皆さんと交流し、友情を深めることができた。今回のさくらサイエンスプログラムの目的は達成されたと言える。