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活動報告(公募計画コース) 第97号

タイのサイエンススクール高校生が日本の医療・医学を体験 その1

大分大学医学部 内田智久

 折しも大型の台風19号が九州地方に大接近のさなかの10月13日、タイのサイエンススクール13校からの高校生13名が福岡空港に到着しました。
 全員が初めての来日で少し緊張した面持ちです。


台風19号が接近していましたが、無事に福岡空港に到着しました。

 招聘者は、タイ全土に13校あるサイエンススクール(チュラポーンスクール12校、マヒドンウィッタヤヌソンスクール)から各校一名で、全員高校2年生です。来日した高校生も互いが初対面です。
 出迎えの後、早速大分に向かいます。大分に近づくにつれて、次第に風雨が激しくなり、宿泊施設に到着した頃には風雨のピークで、台風がないタイの高校生は初めての出来事に戸惑っているようでした。
 この日の午後に予定していた、医学科学生との交流会はやむを得ず中止とし、研修室でのオリエンテーションのみとしました。
 宿舎は和室の布団敷き、風呂は温泉の大浴場のみという、これから一週間の生活について博士課程のタイからの大学院生が自分の経験を基にタイ語で説明してくれました。自然豊かな大分の地でのこれからの一週間に、不安もあるが期待の方が大きいといった様子でした。

 一夜明けた14日は台風一過の秋晴れとはならなかったものの、昨日の嵐の跡形もなく、改めてさくらサイエンスプランの日程が始まりました。
 医学部の歓迎行事、病院見学、Medical Seminarと盛りだくさんな一日からスタートです。

 守山医学部長から挨拶があり、日本の医療や医学教育を体験するばかりでなく、日本の文化や大分の豊かな自然にも触れ、大分とタイの友好の橋渡しをしてくださいとの言葉がありました。
 生徒代表から一週間よろしくお願いします旨の挨拶があり、大学紹介ビデオを見ました。日本の医療水準の高さや、医学部の充実した教育に非常に興味を持った様でした。大分で学ぶにはどうすればよいかとの質問があり、現在、タイの高校生を医学科で受け入れて日本の医師資格取得を目指す準備をしていることを説明すると、具体的にはどうすればよいかとの、突っ込んだ質問も飛んでいました。


守山医学部長と記念撮影。


大学説明を真剣な面持ちで聞く生徒たち。


 病院見学では、採血室、病棟、ドクターヘリ、CT, MRIの画像診断施設を見学しました。採血室では、採血された血液が人の手を全く介さずに全自動で解析されていく様子に、技術水準の高さや清潔度の高さに驚きの声が上がっていました。

 ドクターヘリでは、パイロットから、ドクターヘリは大分県下がカバーされており、短時間で患者の元に飛んでいくことができると説明を受けました。


ドクターヘリを活用した大分の救急体制について説明を受ける。

 午後は、分子病理学講座でピロリ菌と胃がんについての講義と顕微鏡実習を行いました。胃がん発症率には地域差があり、日本では高いが、タイでは低いことを学びました。その原因として、ピロリ菌の遺伝子の違いがあることの講義がありました。また、顕微鏡を使って病理組織検体中のピロリ菌を観察したり、胃がん組織を観察して病理組織についても勉強しました。


顕微鏡を使って胃炎や胃がんの標本の解説を受けます。

 その後、環境予防医学講座に移動し、ピロリ菌研究の最前線の研究室を見学し山岡教授からピロリ菌の遺伝子の地域差についての最新の知見についての講義がありました。詰めた内容だったにもかかわらず、疲れた様子も見せずに多くの質問があったり、興味を持ってセミナーに参加してくれた様子が講師の先生にも伝わったようで、タイの高校生に対して好印象を持ってくれていました。

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