2014年度 活動レポート 第85号:千葉大学大学院工学研究科(1)

2014年度活動レポート(一般公募コース)第85号

電子科技大学学生が千葉大学で高周波・MEMSに関する研修を実施 その1

千葉大学大学院工学研究科 教授 橋本研也

2014年8月24日(日)~30日(土)の7日間、中国成都にある電子科技大学から学部生9名・大学院生1名と引率教員1名(計11名)が、科学技術振興機構(JST)さくらサイエンスプログラムの支援を受けて来日し、千葉大学と東北大学において高周波並びにMEMS(微小電子機械システム)技術に関する研修を実施しました。

今回の招聘の窓口である筆者は、以前より電子科技大学と密接な交流を進めており、今回の申請に当たっても事前に同大学を訪問し、どの様な研修内容とするか詳細に議論しました。そして、我が国の高周波並びにMEMS関連の教育・研究環境を体感することにより、将来大学院学生やポスドクとして再来日に対する憧れを誘発することを目的に据え、研究室見学や講演ばかりでなく、英語での講義や実習を実施することにしました。

また、参加する学生は電子科技大学側で選抜し、学業成績に優れ、英語に堪能なことは勿論、研修内容の高周波・MEMS技術に興味を持ち、さらに日本への留学に興味があることを選抜基準にすることにしました。

今回参加した学生は皆優秀で活気があり、セミナーや講義、研究室見学の際も目を輝かせて真剣に取り組み、鋭い質問を連発していました。研修中に実施した講義や実習にも無理なく対応しましたし、提出を義務付けた実習のレポートも質の高いものでした。多くの先生方が参加学生のレベルの高さに感嘆し、あの様な優秀な学生が留学生として希望してくれたら無条件で引き受け入れますとの感想も頂いています。

8月25日午後に成田に到着し、今回のプログラムのコーディネータを務めた筆者研究室のドクター学生が出迎えました。そして、千葉のホテルまで移動し、チェックインの後、日本での生活全般に関するガイダンスを実施しました。

8月26日朝は筆者がプログラム全体に関するガイダンスを実施した後、千葉大学 劉浩教授からバイオメカニクスに関するセミナーを受講しました。また、近くの寿司屋で歓迎会を兼ねた昼食会を実施し、千葉大学側メンバーとの親交を深めました。午後からは千葉大学で展開している新しい形態の図書館(アカデミック・リンク・センター)を見学した後、筆者による高周波電子工学に関するセミナーを実施しました。

千葉大学におけるセミナーの様子 (講演者は劉浩教授)。

翌27日は伝送線路に関する講義を実施した後、筆者の研究室を見学し、引き続いてネットワークアナライザを利用した高周波ケーブル中の電磁波速度測定に関する実習を行いました。参加者の中には大学で伝送線路をまだ履修していない者も相当数居りましたが、皆興味を持って実習に取り組んでいました。その後、一行は仙台に移動しました。新幹線まで多少時間があるので、途中で浅草に寄ればと伝えたのですが、秋葉原にゆくとのことでした。ちなみに、26,27日の夕刻は皆でホテルのそばのヨドバシカメラに出かけたそうです。

28日は東北大学田中秀治教授の研究室を訪問しました。同教授はMEMSに関する世界的権威で、同教授の研究室には最先端の研究環境が整備されています。まず、田中教授にMEMSに関するセミナーを実施して頂き、引き続き、彼の広大な研究室を見学しました。

東北大学 田中秀治教授(右端)によるMEMS関連設備の紹介。

また、田中教授並びに田中研究室メンバーとの昼食会を開催し、交流を深めると共に田中研究室での学習・研究環境について理解を深めました。午後には戸津健太郎准教授の御厚意により東北大学試作コインランドリーを見学しました。これはMEMSを中心とした試作開発用の共用設備を企業等に開放し、実用化を支援するものです。

最後に、株式会社メムス・コアを訪問し、同社取締役 慶光院利映氏の御厚意により見学させて社内を頂きました。こちらはMEMS機器の開発を支援したり、委託を受けるのを業務としており、田中研究室と密接に連携しています。参加者は世界最先端のMEMS研究・開発環境並びに産学連携とはどの様なものかを垣間見ることができ、大きな刺激を受けたようでした。

株式会社メムス・コアにおける開発製品紹介の様子(説明者は 慶光院利映氏)。