2014年度 活動レポート 第245号:北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科(2)

2014年度活動レポート(一般公募コース)第245号

画像処理手法の研究活動や実験評価などを研修
ベトナム国家大学ホーチミン校との研究交流

北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科

このたび,さくらサイエンスプログラムの支援を受け,ベトナム国家大学ホーチミン校の画像処理研究グループを招き,共同研究を行いました。来日したのは同大学の教員,研究員,大学学部生,大学院生の計6名で,2月22日から3月14日までの間,研究活動を行いました。

相手方の大学学部生,大学院生をインターン形式で受け入れ,短期間であるとはいえ,関連研究のサーベイ,リサーチ・クエスチョンの検討,明確化から処理手法の検討,実装,実験評価など,研究活動で必要な各プロセスを、本学の充実した研究環境の下で体験してもらうというプログラムを用意しました。

本プログラムによる受入れ期間後もその研究テーマを継続することによりスムーズな共同研究体制を確立するとともに,研究遂行力の高い学生を育てるという目標の下,日々活動を進めてきました。

設定したのはMRI画像の領域分割に関するテーマで,学部学生,大学院学生の基礎能力の違いを考慮して、各学生の担当部分や目標を定め,両大学の教員並びに研究員がサポートしながら,研究活動を進めていきました。

日常的なディスカッションに加え,1週間毎にレポート作成とパワーポイントによる中間発表を課し,プレゼンテーション力を向上させることにも配慮しました。医療画像はデータ量が多いこともあり,画像処理に時間を要します。パソコンによる画像処理プログラムの実装に加え,本学の情報社会基盤研究センター設備であるクラスタ計算機を用いたプログラム実装体験も、受入れ期間中のプログラムに組み込み、パソコン環境による処理との違いを体験してもらいました。

毎週の進捗報告とディスカッションの様子

帰国前日には最終成果発表会を設け、期間中の活動成果を取りまとめたレポートを提出してもらうとともに、一人一人にプレゼンテーションをしてもらいました。自分の担当した部分と他の学生が担当した部分の相互関係を理解しつつ、期間中に得られた成果を足掛かりに、帰国後、さらにどのように精度等を向上させるのかということに関する方針や見通しについても議論し,本プログラムがきっかけで始めたこのテーマをプログラム終了後も共同で進めていくことを確認しました。

最終成果発表会の様子(1)

最終成果発表会の様子(2)


今回来日された方々には一般のアパートに滞在してもらいました。留学生受入れ実績のあるアパートの大家さんに短期滞在を依頼したところ,快く受け入れていただきました。当初は少々勝手が異なる室内設備の操作や生活用品,食料品の購入等に戸惑っていたこともありましたが、日本人学生のチューターの助けもあり,快適に生活できたようです。

週末は地元石川県の歴史や文化を通して我が国を知ってもらう機会も設けました。本学の所在地である石川県能美市の九谷焼資料館を訪問した際には,九谷焼の製造工程や代表的な意匠の作品を鑑賞しました。色鮮やかな作品を前に全員が感銘を受けているようでした。また,金沢城公園や兼六園の他,金沢市内のひがし茶屋街や近江町市場なども訪問し,古くからの建築物が残る町並みを散策するとともに,地元の食文化を理解してもらえるよう配慮しました。

九谷焼資料館訪問

ひがし茶屋街散策


このプログラムに参加した学生は,充実した研究環境の下で研究が進められたことに対する喜びを表すとともに,教員,研究員を含め全員が,日本での生活を体験し,歴史,文化が理解できたことに対して大変有意義であったとの感想を述べていました。
最後に,このような貴重な機会を与えていただいた科学技術振興機構にお礼を申し上げます。