2023年度 活動レポート 第131号:さいたま市立大宮北高等学校

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第131号 (Aコース)

「地震、津波、エネルギー」をテーマに問題解決能力と創造性を育む日・台高校生交流

大宮北高等学校からの報告

 2019年以来4年ぶりに、台湾 台北市立松山高級中学(Taipei Municipal Song−Shan Senior High School)の生徒9名・教員2名(うち教員1名は自己負担)を招へいしました。
 2023年12月12日~18日の7日間で実施したプログラムは以下の通りです。

■Day 1(12/12)

 松山高校の生徒9名と教員2名は台湾松山空港から羽田空港を経てバスで本校に移動しました。本校到着後、GC4S参加生徒とダンス部によるオープニングセレモニーを行いました。
 その後、Global Communication for Science・Society 5.0・SDGs・Skill building(GC4S)のアクティビティを行い、両校の生徒同士で交流しました。

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■Day 2(12/13)

 大宮北高校で活動しました。松山高校の生徒たちは、通学の際に日本の鉄道(大宮駅〜宮原駅)を初めて体験しました。
 今回のプログラム全体のテーマを「地震、津波、エネルギー」に設定しました。
 両校の生徒たちは8つのグループに分かれて午前・午後の課題に取り組みました。

 『GLOBAL DESIGN LABORATORY』:午前の課題
 「地震と津波によって壊滅した都市の解決策を考える」
 Phase 1:生き残るために緊急に必要なことは
 Phase 2:都市が1年以内に機能的で運用可能な状態になる計画
 解決策(Phase1・2)の発表:グループごと(Phase 3は6日目に実施)

 『STABLE STRUCTURE』:午後の課題
 地震や津波で被害を受けたり破壊されたりした都市の再建プロセスで使用することを想像して、仮設の紙構造物を作るSTEM Project。グループで構造を検討し、与えられた条件と材料を基に構造物を作成し、実際に重りを載せてその強度テストを行い、優劣を競いました。

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■Day 3(12/14)

 さいたま市立大宮国際中等教育学校でのアクティビティ。
 午前中は、芸術とビジネスに関するディスカッション、午後は化学実験(中和滴定)でした。実験では、大宮国際中等教育学校の生徒がTAとして台湾の生徒の実験をサポートしていました。通常であればグループで行う実験ですが、今回は個人で実験を行いました。理論に近い値が出ていたため、生徒たちも満足でした。夜には、TAで参加した生徒と夕食を交えながら意見交換会を行い両校の親睦を深めました。

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■Day 4(12/15)

 本校の理数科の生徒9名と共に、終日埼玉大学にて研修を行いました。
 井上直也シニアプロフェッサーによる放射線(特に自然放射線)に関する講義・実習と永澤明名誉教授による金属イオンの色をテーマとした演示・講義を聴講しました。大学の授業を実際に受けられる貴重な経験でした。さらに、埼玉大学内の先端研究施設を見学して、各研究施設の使われ方や研究内容について学びました。

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■Day 5(12/16)

 福島県浜通り地区にバスで移動し、8町村に分かれてフィールドワークを行いました。
 本校のSSHは福島復興に取り組んでおり、その一環として今回のさくらサイエンスでは、第2学年各クラスのリーダー2人が台湾の生徒と教員と一緒にフィールドワークをしました。地元の商店や施設に入り各町村の人々にお話を聞き、今後の復興に対する取り組みを改めて進めていくきっかけとなりました。夕食後は広野町の体育館に移動し、台湾の生徒と本校生でPaper airplane competitionを行いました。言葉の壁はあるもののフィールドワークのグループ毎にアクティビティに協力して取り組むことができました。

■Day 6(12/17)

 福島県県立安積高等学校で『GLOBAL DESIGN LABORATORY』を行いました
 『GLOBAL DESIGN LABORATORY』のPhase 3を3校の生徒で構成されたグレープで協力し解決策を議論しました。

 Phase 3:地震と津波の被害から5年後に持続可能な都市の建設する
 生徒達は解決策のアイデアに現在と未来のテクノロジーの活用が条件付けられると同時に、都市の文化と伝統をいかに守るかを念頭に置くことも求められました。さらに、代替エネルギー源を考えることにも挑戦しました。2011年3月11日の東日本大震災後、地元の高校と2つの視察高校(国内1校、海外1校)が可能なアイデアや解決策について話し合うという、素晴らしい交流となりました。

 今回の訪問は、雪という特別な贈り物で幕を閉じました。台湾の生徒たちは、雪を見るのは初めてのことでした。

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■Day 7(12/18)

 最終日は、日本未来科学館を訪れて、宇宙、生命そして未来などの様々なテーマのブースで科学技術についての学びを深めました。その後、羽田空港に向かい台湾へと帰国していきました。

 両校の生徒が交流を深めることができ、大変有意義なプログラムでした。素晴らしい機会をいただき、さくらサイエンスプログラムの関係者の皆さまに感謝申し上げます。また、このプログラムに携わった教員にとっても意義のある7日間でした。今回の経験をもとに、次年度以降も改良を重ね海外の高校との交流を続けていきます。