2022年度 活動レポート 第10号:岩手大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第010号 (Aコース)

アジア3カ国の学生が先端的なメディア技術による多彩なデジタルコンテンツ・デザインを体験

岩手大学からの報告

 2022年9月4日から9月10日の間、アジアの3カ国(モンゴル、台湾、タイ)の6大学(モンゴル国立大学、モンゴル科学技術大学、モンゴル人文大学、高雄師範大学、ナレスアン大学、シラパコーン大学)より大学生・院生合計11人および引率教員5人を岩手大学へ招へいしました。計画では、台北科技大学から2名の学生も招へいする予定でしたが、コロナ禍でビザ申請が間に合わなくなり、キャンセルとなりました。今回は、新型コロナの影響で3年ぶりの招へいとなります。

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岩手県内の伝統的プロダクトの見学

<初日>

 成田空港にて全員集合し、夜遅く盛岡に到着しました。今回、送迎は外部に委託しました。

<2日目>

 午前中にオープニングセッションを行いました。最初に学部長挨拶の後、事務手続きを行い、岩手大学の紹介ビデオを視聴しました。ビデオは、2020年度にさくらサイエンスオンライン交流のときに制作されたものです。次に、本学大学院生(博士課程学生2名)による、研究発表を行いました。最後に、各大学の学生が、“My Country My University”と題して、各国の文化や、食事、生活などを発表し、加えて大学の紹介を行いました。本学大学院生の研究発表では、デザイン系の研究とメディア技術の研究内容について、博士3年次の2名の学生が各自の研究内容について発表しました。午後からは、3グループ(田中グループ、今野グループ、小林グループ)に分かれて、各研究室での活動となりました。

<3日目>

 午前中は、芸術科学会東北支部が主催するディジタルコンテンツの展示発表会「アート&テクノロジー東北2022」を見学しました。今年度は、展示イベントがオンライン開催となり、各自で参加登録をしてもらい、パソコン上でコンテンツを視聴する形式となりました。

 午後には、研究室活動を再開しました。また、3日午前中に、引率教員が本学学長を表敬訪問し、今後ともお互いの交流深化に向けて活動することを確認しました。

<4日目、5日目>

 研究室ごとの固有の活動となりました。今年度は、新型コロナの影響もあり、学生の交流会は中止しました。各グループは、概ね次のような活動を行いました。5日目の午後には、各グループ活動をまとめ、発表会の準備のためのスライドを作成しました。

■グループA(田中グループ)

 タイ、モンゴル、日本の3ヶ国における伝統的なお土産のパッケージの特性を基軸にディスカッションを展開しました。最初に大学のキャンパスを見学し、各自が自己紹介し、発表するテーマを議論しました。その後、盛岡手づくり村を訪問し、工業製品や食品等の伝統的なプロダクトを見学しました。また、岩手県の伝統的な団子作り等を体験することで日本の地域の歴史を理解してもらいました。さらに、盛岡市内の商業施設で、岩手県及びその周辺各地域の様々な特産品を紹介しました。その後、3ヶ国を比較し、伝統的な食品のパッケージの特徴を芸術工学的な視点で相互に比較し、グループで議論を行い発表しました。しかし、本活動の中で、持続可能な開発目標 (SDGs) の視点からの考察を期間内で考察するには時間的に難しく、相互の環境への取り組みを整理するには至りませんでした。

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グループAの様子

■グループB(今野グループ)

 各自が自己紹介の後、3Dプリンタを活用したモデルを共同で制作しました。制作対象物を議論した後、3DCGソフトでモデリングし、何度も試作を繰り返しながら、モデルを完成させました。その後、3Dプリンタで印刷して、モデルを作成しました。文化の違う学生さんたちが、意思疎通を図るために苦労がありました。また、3Dプリンタでの出力は時間がかかるため、適切な時間でプリントするためどうしたらいいかを、細かく話し合っており、充実した時間が過ごせました。

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グループB 議論の様子

■グループC(小林グループ)

 生体信号計測に関する研究紹介を行い、心臓の活動を測定する電子回路の制作を行いました。参加学生は、電子回路制作は初めてであり、基本的な原理から学びました。特に、心臓の活動を電気信号として計るための生体メカニズムに関して、良く学びました。自ら作成した電子回路を用いて自分の心臓の活動を測り、新たな発見ができたようです。また、岩手の歴史や文化を学ぶため、歴史博物館と美術館を訪問して、日本文化に触れて多くの写真を撮っていました。

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グループCの様子

<6日目>

 午前中は、各研究室での活動についての発表会を行いました。グループAは、日本のスーパーなどへ出向いてパッケージデザインの調査と各国の違いに対する議論、グループBは、3次元モデル生成やそのモデルを用いて3Dプリンタによるモデル製作体験、グループCは、3次元計測装置を用いた生体センシング技術などの発表がありました。昼食後、帰国のため東京に向かいました。

<7日目>

 各自が成田空港へ移動し、今回招へいした学生と引率教員は、皆さん元気に帰国しました。

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参加者全員で記念撮影